
乳幼児期に受ける予防接種の全体像
1か月健診で「そろそろワクチンが始まりますよ」と言われて、急にスケジュール表とにらめっこすることになった、というお話をよく伺います。乳幼児期のワクチンは種類が多く、開始時期も生後2か月、生後5〜8か月、1歳と、月齢によって少しずつ異なります。
当院では、母子手帳の記録を確認しながら、これから受けていただくワクチンの順番と同時接種の組み合わせを一緒に確認します。分からないことは診察の中で遠慮なく聞いてください。
このページでは、乳幼児期に受ける7つのワクチン(5種混合・小児用肺炎球菌・B型肝炎・ロタウイルス・BCG・MR・水痘)について、防ぐ病気と接種時期を月齢の順にご紹介します。
生後2か月から始まる4種の定期接種
生後2か月を迎えると、5種混合・小児用肺炎球菌・B型肝炎・ロタウイルスの4種類を同時に受け始める時期がやってきます。1本ずつ受けていくと通院回数がかさんでしまうため、当院ではこの4種類をまとめて同時接種することを基本にご案内しています。
5種混合(DPT-IPV-Hib)
ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオ・ヒブ感染症(細菌性髄膜炎などを起こす細菌感染症)の5つを1本で防ぐワクチンです。2024年4月から、従来の4種混合とヒブワクチンをあわせた5種混合として定期接種に加わりました。生後2か月から接種を開始し、20日以上(標準的には3〜8週)の間隔で3回受ける初回接種のあと、3回目からおよそ6か月以上あけて(標準的には12〜18か月頃)追加接種を1回受けます。
小児用肺炎球菌
肺炎球菌という細菌による細菌性髄膜炎・肺炎・中耳炎などを防ぐワクチンです。生後2か月から接種を開始し、初回3回に続けて、3回目からおよそ60日以上あけて1歳〜1歳3か月頃に追加1回を受け、合計4回接種します。
B型肝炎
B型肝炎ウイルスの感染を防ぐワクチンです。感染が慢性化すると、将来的に肝炎や肝硬変につながることがあります。生後2か月から3回接種し、1回目からおよそ4週間後に2回目、1回目から20〜24週後(生後7〜8か月頃が目安)に3回目を受けます。
ロタウイルス(経口)
ロタウイルスによる急性胃腸炎(繰り返す嘔吐・下痢)を防ぐ、飲むタイプのワクチンです。生後6週から接種でき、使用するワクチンの種類によって2回または3回と回数が異なります。1回目は生後14週6日までに受けてください。当院で採用しているワクチンの種類は、診察時にご確認いただけます。
生後5〜8か月に受けるBCG
結核を防ぐワクチンで、腕にスタンプ状の器具を押し当てて接種します。標準的な接種期間は生後5か月から8か月に至るまでで、1歳の誕生日を過ぎると定期接種の対象から外れます。5種混合・肺炎球菌・B型肝炎・ロタウイルスの接種が一段落した頃に受けていただくことが多いワクチンです。
接種した部分は数週間かけて赤みや小さなかさぶたができ、自然に治っていきます。跡の様子に気になる点があれば、次回の受診時にご相談ください。
1歳を迎えたら受けるワクチン(MR・水痘)
MR(麻しん風しん混合)1期
麻しん(はしか)と風しんを防ぐワクチンです。1歳の誕生日を迎えたら、できるだけ早めに1回接種します。麻しんは感染力が非常に強く、1歳になった時点から接種可能になるため、誕生日を過ぎたら早めにご来院いただくと安心です。
水痘(みずぼうそう)
水ぼうそうを防ぐワクチンです。1歳から接種を開始し、1回目からおよそ3か月以上(標準的には6〜12か月の間隔)あけて2回目を接種します。MRと近い時期に受けられるため、来院回数をまとめやすいワクチンです。
ワクチンの種類と時期の一覧
ここまでご紹介した7つのワクチンを、防ぐ病気と開始時期・回数で一覧にまとめました。
| ワクチン名 | 防ぐ病気 | 開始時期・回数 |
|---|---|---|
| 5種混合(DPT-IPV-Hib) | ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオ・ヒブ感染症 | 生後2か月〜/初回3回+追加1回 |
| 小児用肺炎球菌 | 肺炎球菌による細菌性髄膜炎・肺炎・中耳炎など | 生後2か月〜/初回3回+追加1回 |
| B型肝炎 | B型肝炎ウイルスの感染 | 生後2か月〜/3回 |
| ロタウイルス(経口) | ロタウイルスによる急性胃腸炎 | 生後6週〜/2回または3回(ワクチンの種類による) |
| BCG | 結核 | 生後5〜8か月未満/1回 |
| MR(麻しん風しん混合)1期 | 麻しん・風しん | 1歳〜/1回 |
| 水痘(みずぼうそう) | 水ぼうそう | 1歳〜/2回 |
月齢や体調によって、接種の順番が前後することもあります。正確な時期は母子手帳と診察であわせて確認しますので、まずは当院までご相談ください。
同時接種について
生後2か月からの数か月間は、受けるワクチンの本数が特に多くなる時期です。1本ずつ日を分けて受けていると通院回数がかさんでしまうため、当院では同時接種を基本の考え方としてご案内しています。
同じ日に複数のワクチンを接種する「同時接種」は、注射生ワクチン同士を除いて接種間隔の制限がなく、日本小児科学会も推奨している方法です。組み合わせや本数は、体調やこれまでの接種歴を確認したうえで医師が判断します。
接種前後に気をつけたいこと
当日の体調によっては、接種を見合わせることがあります。次のような様子があるときは、来院前に一度お電話でご相談ください。
- 37.5度以上の発熱がある
- 前日から体調がすぐれない、機嫌が悪い状態が続いている
- 前回の接種で強いアレルギー反応が出たことがある
接種後は、院内で15〜20分程度、体調の変化がないかを確認してからお帰りいただきます。ご自宅では、当日の入浴自体は差し支えありませんが、接種した部位を強くこすらないようご注意ください。
よくあるご質問
本数の上限は定められていません。組み合わせは、体調やこれまでの接種歴を確認したうえで医師が判断します。
ロタウイルスワクチンには2回接種のものと3回接種のものがあります。診察の際にそれぞれの特長をご説明したうえで、ご相談しながら決めていただけます。
37.5度以上の発熱がある場合は接種を見合わせます。ご来院前に一度お電話でご相談ください。
院長 井口 正道
保有資格・所属学会
- 日本小児科学会 専門医
- 日本アレルギー学会 専門医
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