
症状の解説
戻した後にぐったりしていないか、下痢が何回続いているか、顔色はどうか——お子さまの嘔吐や下痢が続くと、こうした様子を保護者の方は真っ先に気にされると思います。小さなお子さまの嘔吐・下痢の多くは、ノロウイルスやロタウイルスなどによる感染性胃腸炎(ウイルスが原因で胃や腸に炎症が起こる状態)が原因です。
嘔吐や下痢を繰り返すうちに、体の中の水分と塩分が失われていきます。回復までの日数には個人差があり、数日で落ち着くこともあれば、下痢だけしばらく続くこともあります。腹痛は、痛む場所やタイミング(食後なのか、排便の前後なのか)によって考えられる原因が変わるため、いつ・どこが・どんなふうに痛むかをメモしておいていただけると、診察の際に役立ちます。
診察では、嘔吐や下痢が始まった時期や回数、便の状態に加え、顔色や機嫌、おしっこの回数など、脱水のサインがないかをあわせて確認します。
脱水のサイン
脱水は、体の中の水分が不足している状態です。小さなお子さまほど体に占める水分の割合が高く、嘔吐や下痢が続くとおとなより早く脱水が進みます。次のような様子は、脱水が進んでいるサインとして注意して見ていただきたいポイントです。
| 見られる様子 | 目安 |
|---|---|
| 唇や口の中が乾いている | 軽い脱水のサインとして現れやすい様子です |
| 尿の回数や量がいつもより少ない | 半日以上おしっこが出ていない場合は受診の目安になります |
| 目がくぼんで見える、皮膚の張りが戻りにくい | 中等度以上の脱水が疑われる様子です |
| 呼びかけへの反応が乏しい、ぐったりしている | 早急な受診が必要な様子です |
これらの様子は、一つだけでなく重なって現れることもあります。普段のお子さまと比べて「あれ、いつもと違う」と感じたときは、体温や食欲だけでなく、おしっこの回数や機嫌もあわせて確認してみてください。
水分・食事の進め方
嘔吐や下痢が続いているときは、水分の補い方と食事を再開するタイミングが、おうちでのケアの中心になります。当院では、次のような順番で様子を見ながら進めることをお伝えしています。
吐き気が少し落ち着いてきたら、スプーンや小さなコップで経口補水液を少しずつ与えます。一度に多く飲ませると、また吐いてしまうことがあります。
吐かずに飲めていれば、時間をあけながら少しずつ量や回数を増やしていきます。下痢が続いていても、水分補給は続けます。
嘔吐や下痢が落ち着いてきたら、おかゆやうどんなど消化のよいものから少しずつ再開します。無理に普段どおりの量を食べさせる必要はありません。
母乳やミルクを飲んでいるお子さまは、嘔吐が落ち着いていれば通常どおり続けて問題ありません。乳製品や柑橘系のジュース、脂っこいものは下痢のあいだお腹に負担がかかりやすいので、いったん控えると回復を後押しします。
家庭内の感染対策
嘔吐や下痢の原因となるウイルスの多くは、便や吐いたものを介してうつります。家庭内でお子さまから他のご家族にうつることも少なくありません。次の点に気をつけると、家庭内での感染を減らせます。
- おむつ交換や排泄の後、調理や食事の前は、石けんと流水でしっかり手を洗う
- 嘔吐物や便で汚れた衣類・シーツは、他の洗濯物と分けて洗う
- 嘔吐物を片付けるときは、使い捨ての手袋とペーパータオルを使い、飛び散った範囲より広めに拭き取る
- タオルや食器の共用を避ける
- トイレは、便座のふたを閉めてから水を流す
症状がおさまったあとも、しばらくウイルスが便に含まれていることがあります。手洗いは、お子さまの症状が落ち着いてからも続けていただくとよい習慣です。
受診の目安・急ぐサイン
次のような様子は、迷わず119番で救急要請してください。
- ぐったりして呼びかけへの反応が乏しい
- お腹を痛がって体を丸めて動けない、お腹全体が板のように硬い
- 激しく泣くことと苦しそうにぐったりすることを繰り返し、血の混じったゼリーのような便が出る(乳幼児の腸重積の可能性)
次のような、上記以外で判断に迷う様子があるときは、まずは当院(048-941-8686)へお電話ください。
- 半日以上おしっこが出ていない
- 繰り返し吐いて、水分がまったく受け付けられない
- 便に血が混じっている、または吐いたものに血のようなものが見える
診療時間外や夜間・休日に受診を迷ったときは、こども医療でんわ相談「#8000」で看護師や小児科医に相談できます。#8000について詳しくは「発熱・感染症状がある方へ」のページでご案内しています。
よくあるご質問
経口補水液がすぐに用意できないときは、麦茶や薄めたスポーツドリンクでも代用できます。糖分の多いジュースは下痢を悪化させることがあるため、いったん控えます。できれば経口補水液を用意しておくと、次に症状が出たときにも役立ちます。
問題ありません。吐き気が落ち着いていれば、母乳やミルクは通常どおり続けて大丈夫です。哺乳のたびに何度も吐いてしまう場合は、回数を増やすなど量を調整すると飲みやすくなります。
手洗いと、嘔吐物・便で汚れたものの取り扱いが一番のポイントです。特に排泄やおむつ交換のあとの手洗いを徹底し、タオルの共用も控えます。ごきょうだいも似た症状が出た場合は、当院にお電話いただければ、まとめて受診の時間帯をご案内します。
院長 井口 正道
保有資格・所属学会
- 日本小児科学会 専門医
- 日本アレルギー学会 専門医
ご来院前のお問い合わせ
受診について気になることがあれば、お気軽にお電話ください。
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受付 9:30–12:00 / 15:00–18:00
