
舌下免疫療法とは
毎年同じ季節になるとくしゃみや鼻水が止まらなくなる、一年中鼻づまりが続いている——そうしたお子さまの様子を見て、「薬を飲ませ続けるしかないのだろうか」と感じたことがあるかもしれません。舌下免疫療法は、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を少量から体に取り入れて、少しずつ慣らしていくことを目指す治療です。
スギ花粉やダニのエキスを含む薬を舌の下に置いて1分間保ち、その後飲み込みます。医学的には「アレルゲン免疫療法」と呼ばれる治療の一つで、健康保険が適用されます。当院では実施しておらず、ご希望の場合は治療に対応した連携病院にご紹介します。
毎日欠かさず薬を使うことで、数年かけてアレルギー反応そのものを和らげることが期待されています。効果の現れ方や度合いには個人差があり、症状の重さやそれまでの治療歴によっても変わります。
対象となるお子さま(スギ・ダニ)
舌下免疫療法の対象は、スギ花粉またはダニ(ハウスダストダニ)に対するアレルギーが確認されているお子さまです。アレルギーの確認(血液検査など)は、紹介先の連携病院で行います。くしゃみ・鼻水・鼻づまりが続くアレルギー性鼻炎の診断がついていることが前提になります。
開始できる年齢は薬剤ごとに決まっており、6歳以上が目安です。ぜんそくの症状が不安定な時期や、以前に口の中で重い症状が出たことがある場合は、開始を見合わせることがあります。
| 対象アレルゲン | 主な症状 | 治療を始められる時期 |
|---|---|---|
| スギ花粉 | くしゃみ・鼻水・目のかゆみ(花粉症) | 花粉が飛んでいない6月頃〜12月頃が目安 |
| ダニ(ハウスダストダニ) | 季節を問わず続く鼻水・鼻づまり | 年間を通じて開始可能 |
スギとダニの両方にアレルギーがある場合は、両方の治療を行うこともあります。どちらから始めるかは、検査結果と症状を見ながら医師と相談のうえで決めています。
開始時期の注意(スギは飛散期を避ける)
ダニの治療は年間を通じていつでも始められますが、スギ花粉の治療は花粉が飛んでいる時期に新しく始めることはできません。鼻や目の粘膜がすでにスギ花粉へ反応している状態で薬を使い始めると、症状が強く出やすくなるためです。
- スギ花粉症:花粉が飛んでいない6月頃〜12月頃が開始の目安です
- ダニアレルギー:季節を問わず、検査で対象と分かればすぐに開始できます
- すでに治療を始めている場合は、花粉の時期でも毎日の服用を続けます
「今シーズンの花粉が本格化する前に始めたい」というご相談も多いのですが、開始のタイミングを逃すと半年ほど待つことになります。飛散期が終わったら早めにご検討いただくと、その後のスケジュールを立てやすくなります。
相談から治療開始までの流れ
当院では舌下免疫療法そのものは実施しておらず、次のような流れで連携病院にご紹介します。
一般の診療時間内にお越しください。症状や経過を伺い、対象になりそうかを相談します。
治療に対応した連携病院への紹介状をお作りします。受診の予約は、紹介先の病院で行っていただきます。
血液検査でスギ・ダニへのアレルギーを確認したうえで、紹介先の病院で治療を開始します。その後の通院先については紹介先の病院にご確認ください。
治療期間の目安
最低3年、十分な効果を目指す場合は5年間の継続が推奨されています。途中でやめると、それまでの効果が十分に生かせない場合があります。
治療を始める前にご確認いただきたいこと
舌下免疫療法を始める前に、次の点をご理解いただいたうえで治療方針をご相談します。
- 治療は長期にわたります。最低3年、十分な効果を目指す場合は5年間の継続が推奨されています
- 治療開始後は月1回の受診が必要です。通院先は紹介先の病院にご確認ください
- 副作用として、頻度は少ないもののアナフィラキシーを起こす可能性があります
治療中の注意事項
服用中の注意点(運動・入浴の制限、体調不良時の対応、歯科治療前の申告など)は、治療開始時に紹介先の病院からご案内があります。そちらのご案内に沿ってお過ごしください。口の中の腫れやかゆみが出ることがあり、稀にアナフィラキシーなど重い症状が起こる場合があります。
よくあるご質問
薬剤によって開始できる年齢が決まっており、6歳以上が目安です。年齢だけでなく、舌の下に薬を置いて1分間保てるかどうかも判断の材料になります。
できます。両方にアレルギーがある場合、検査結果や症状の強さを見ながら、どちらから始めるかを相談します。
途中で中止すると、それまでの効果が十分に生かせないことがあります。少なくとも数年間、毎日続けることを前提にした治療のため、始める前に日々の生活の中で続けられそうか一緒に考えます。
体調や治療の段階によって間隔は変わりますが、月1回の受診が必要です。通院先については、治療を開始する紹介先の病院にご確認ください。
口の中や喉のかゆみ、腫れなど、局所的な反応が出ることがあります。多くは軽いものですが、稀に息苦しさや全身のじんましんなど重い症状が起こることもあるため、初回の服用は治療開始先の医療機関内で経過を確認します。気になる症状が続く場合は、治療を受けている医療機関へ次の通院を待たずにご連絡ください。
院長 井口 正道
保有資格・所属学会
- 日本小児科学会 専門医
- 日本アレルギー学会 専門医
ご来院前のお問い合わせ
受診について気になることがあれば、お気軽にお電話ください。
048-941-8686
受付 9:30–12:00 / 15:00–18:00
